新装版まんが道レビュー。子供の頃の熱気を取り戻せ!

5.0
エンタメ
阿蘇道雄
阿蘇道雄

藤子不二雄Ⓐ先生のあの『まんが道』の愛蔵版が帰ってくる!

押須めぐる
押須めぐる

全10巻で豊富なカラーページも再現された決定版で、巻末の単行本未収録扉や著名人のエッセイも当時のまま再収録されているから、買い逃していた人はこの機会は嬉しい。

新装版・まんが道レビュー

新装版・まんが道
新装版・まんが道 3月発売の「あすなろ編」「立志編1」

2023年3月現在では、まだ最初の2巻しか販売されていないので、その2巻と過去に読んだ記憶でまんが道をレビューしますが、とにかく現代の日本低迷時代に生きる大人たちに情熱と熱気を取り戻すきっかけになるだろう、日本マンガの黎明期の熱気がムンムンに伝わってくる作品

敗戦後の日本に育ち、まだマンガが現在ほど市民権を得ていない状況で、自分たちの好きなマンガに集中し、その一本道を紆余曲折しながら進んできた藤子不二雄Ⓐ先生と藤子・F・不二雄をモデルにしたふたりのマンガ少年がプロへの道を歩む姿を感動的に描いた『まんが道』

結果として、ドラえもんをはじめ数々の名作マンガを生み出し、今なお読まれている藤子不二雄2人だが、マンガを信じて、そこに人的資源を集中した生き様はまさにベンチャースピリッツ溢れており、今日の日本のマンガ、アニメ文化の礎を作り上げてきた歴史を追体験できるのが胸熱。もし、まだ読んだことがない人はもちろん、読んだことがある人もぜひ再読してもらいたい。

現在の日本のマンガ文化の礎を作ってきた二人はもちろん、その周りにいた手塚治虫先生、赤塚不二夫先生、石森章太郎先生、つのだ次郎先生などいわゆるトキワ荘の名だたる名作家メンメンの情熱と歴史を感じる大河作品です。

一つの文化を作り上げていった過程が精緻な描写で紡がれた『まんが道』は、大人になった我々にも、あの頃の情熱を思い出させてくれる。

本ブログ『あそび道』はもちろんこの『まんが道』へのオマージュとしてつけさせていただいたが、ブログスタートに合わせたかのようにこの愛蔵版の復活出版されたことには運命を感じてしまう。

読んで損はないし、愛蔵版として持っておき、さまざまな蔵書とともに並べておくと、大人のあそび心にまたあなたのライフスタイルがランクアップしてしまいます。

さて、今回の新装版『まんが道』は、長らく品切れだった愛蔵版を、新装版として全10巻で刊行してくシリーズ。豊富なカラーページまで再現した決定版で、巻末の単行本未収録扉や著名人のエッセイも当時のまま再収録されたおり、充実している。過去の愛蔵版を持っている人は間違えて買わないように注意してほしい。

私のように過去の愛蔵版を買いそびれていた人は、再び購入のチャンスがやってきたと喜びひとしおでしょう。

また、巻末のエッセイ寄稿も豪華なので、おさえておきたい。

鴻上尚史(作家・演出家)・・・第2巻
ハロルド作石(漫画家)・・・第3巻
小畑健(漫画家)・・・第4巻 
江口寿史(漫画家)・・・第5巻
あらゐけいいち(漫画家)・・・第6巻
島本和彦(漫画家)・・・第7巻 
秋本治(漫画家)、荒木飛呂彦(漫画家)・・・第8巻

また、子供たちにもぜひ何かに熱中する少年時代を送ってもらうために読んでもらうのも一計。

ドラえもんの作者も若い頃に、情熱と努力を持って取り組んだからこそ、何十年に渡り語り続けられる名作になったのだよと、大人の蘊蓄を語ることもできるのだ。実際、我が家の5歳児にも、やや尊敬の念を抱いてもらうことに成功した。もう少し大きくなったらぜひ、自分で読み始めてもらいたい。

新装版・まんが道「あすなろ編」の見どころ

まんが道アンマーイ

新装版まんが道・第1巻のあすなろ編は、富山県の高岡中学校での満賀道雄(A)と才野しげる(F)の出会いから、高校時代に漫画家になることを決意するまでのお話。

一番の名シーンは、「アンマーイ」で異論がある人はいないだろう。

戦後に学校で配給された肝油なる栄養剤、今で言うサプリを舐めた道雄の言葉と表情で見る「アンマーイ」の破壊力は凄まじく、そして、どれほど甘いんだろうと想像力を掻き立ててくれる。

子供達の間で通貨として使われていたというのだから相当で、こんな細やかな実体験を通して、道雄と才野しげるの関係性を描いていくストーリーテリングは、やはりさすがとしか言いようがない。

ああ、肝油食べてみたい。多分そんなに美味しくないんだろうけど。

ここだけであすなろ編は100点満点、その後の満賀道雄の劣等感や葛藤、些細な喧嘩など見どころも多いので、久しぶりに読んでもやはり200点を超える漫画であった。

新装版・まんが道 立志編1の見どころ

映画ドラキュラを観た後の満賀道雄はドラキュラになりきってしまう

新装版まんが道・第2巻立志編は、少し第1巻と被るエピソードもあるが、高校時代の二人の成長と友情を描いている。巻末のエッセイ寄稿は劇作家の鴻上尚史。

特にお気に入りのシーンは、道雄が映画館で「ドラキュラ」を観た帰り道。自分がドラキュラになりきってしまい、通りすがりのおじさんに叫んでしまっているところ。映画あるあるで、アクション映画を観た後になんだか自分もすごいことができそうな気分に高揚している感じに共感してしまう。

また、まんが道に興味を持ってとりあえず読んでみたい!という方には電子書籍版でサクサク読み進めていくのもおすすめです。

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